武道の振興・普及

山口県(山口市)地域社会柔道指導者研修会

期間 平成25年11月7日(木)~8日(金)
場所 維新百年記念公園スポーツ文化センター武道館
参加者 32名(中学校教員15名、高等学校教員10名、山口県柔道協会柔道指導者7名)
派遣講師 鮫島元成八段、腹巻宏一五段

概要

 山口県で、11月7日、8日の2日間にわたり、中学校での武道必修に対応した柔道指導者研修会が開かれた。研修会には、主催者である山口県教育委員会の計らいにより、柔道指導経験の少ない中学校保健体育科教員ら15名が参加したほか、高等学校教員や地元山口県の柔道高段者も参加して、全日本柔道連盟推薦講師である鮫島元成講師や腹巻宏一講師の指導の下で中学校での武道必修における指導方法を学んだ。
 また研修会の地元講師は、勝浦での全国柔道指導者研修会に参加した山口県柔道協会推薦講師が務め、山口県の柔道高段者らが、授業協力者としての研修を兼ねて教職員参加者の補助にあたった。

 初日は、はじめに、鮫島講師が、中学校の体育で柔道を学ぶ意義について、単に技を覚えて終わるのではなく、相手に怪我をさせないよう、互いに尊重しあいながら技を磨き、受身を身につけることの大切さを知り、武道ならではの特性に触れることが重要であり、指導は段階的(軽→重、低→高、弱→強、静→動)に行い、はじめは大まかでも、最後はしっかりできるようにすることを重視するよう説明。続いて柔道衣の着用や帯の締め方、正座や礼の方法を学び、後頭部を打たないように段階的に行う受身の指導方法や柔道の体捌き、足捌きなどを行って、午前の研修を終えた。

 続いて午後は、受身の取り方(八方向に倒れる受身や横転する受身、前に回る受身)を行った後、片膝をつかせるなどの低い姿勢から徐々に膝車や体落としで相手に技をかけて、段階的に技の動作を覚え、安全に受身を取らせる方法や安全な指導の3つの要点(残身、潔さ、命綱)を学び、大外刈りの安全な指導方法や固め技(抑え込み技)の理合を覚えるための簡易な抑え込み、二人組で順番を決めて技をかける練習(約束練習)を行って初日の研修を終えた。

 2日目は、はじめに初日に行った受身の動作を再確認したあと、投技の練習方法について、初日の内容を再度おさらいして、約束練習を行った。
 続いて、参加者に配られた全日本柔道連盟が作成した『柔道の安全指導』について、鮫島講師が解説を行い、頚椎損傷、後頭部強打、脳の加速損傷などの重大事故を防ぐための要点を再確認した後、腹巻講師が、柔道塾経営を通じて考えている全人教育としての柔道のあり方や、一方的な指導にならない指導の方法などについて述べた。
 最後にその他の投技(出足払い、小内刈り、大内刈り、大腰、払い腰、釣り込み腰、背負い投げ)や抑え込みへの対処(応じ方)なども、短時間ながら実際に体験して2日間の研修を終えた。

 2日間の研修を終え、参加者からは、「引き手や釣り手の使い方など、教本を読むだけではわからない、実際に経験してわかることがたくさんあった。「柔能く剛を制す」が本当にできるのか信じていなかったが、実際に相手を上手に崩すと技がかかるという感覚が少し分かりました。研修に参加できるのは2日間が精一杯だが、もう少し1つの技に時間をかけて練習したかった。後で研修の内容を動画でおさらいしたら、より理解が深まるのではないかと思いました」(男性教員、初心者)、「教員の課程では剣道を選択したので、柔道を学ぶのは、本当に初めてだったが、少しずつ段階を踏んで指導していく方法(スモールステップ)など、大変参考になりました。柔道の授業を行うのがとても憂鬱だったが、丁寧に指導していただき、かなり不安が解消されました。受身の練習は手順を踏んで進めれば痛みもなく怖くないと思いました」(女性教員、初心者)といった感想が聞かれた。