武道の振興・普及

茨城県(水戸市)地域社会剣道指導者研修会

期日 平成26年8月2日(土)
場所 茨城県武道館
参加者 37名 内中学校保健体育科教員(男子18名、女子2名)
中央講師 吉﨑勝教士八段、長谷川弘一教士八段

概要

 中学校必修化特化の剣道研修会、茨城県での開催は平成23年・25年に続いて3回目となった。
 はじめに長谷川講師が地元福島県内の中学校体育授業に関する調査報告をし、武道の特性を活かした授業内容について講義を行った。

・229校の内、柔道を実施している学校が115校、剣道105校、相撲、合気道が各2校。 ・剣道授業の実施率が45%であるが、年間5時間という学校も含まれている。1・2年で必修、3年で選択となるが、剣道を選択する生徒は1割にも満たないという学校もあり、剣道の魅力を伝え、多くの生徒に続けてもらうには課題が多い。
・「文化性」「精神性」を強調しすぎることは、武道必修化を推進する上で必ずしも効果的でないかもしれないが、文化とは何か、剣道の精神とは何か、指導者がきちんと理解した上で生徒に伝えることが大事。 ・福島県の中学校大会で、相手の体当たりを受けて、頭から落ち、脳震とうを起こした例がある。基本である足捌きをきちんと指導すべき。
・剣道具を着用して打ち合うだけが剣道の魅力ではない。剣道具を着用しなくても魅力が伝えられるよう、限られた時間での指導法を考えることが必要。
・基本に忠実な指導を心がけることにより、ケガをしない、長く楽しくできることを忘れないで指導していただきたい。
・剣道の特徴は対人性にある。評価をする際、技術がしっかりできているかだけでなく、元立の動きにも注目し、評価の対象とする必要がある。

 続いて長谷川講師による実技指導が行われた。はじめは竹刀の代わりに手拭いを使い、握り方、踏み込む時の足の動きを指導。初心者も有段者も真剣な表情で取り組んだ。
 午後は吉崎講師が剣道具を着用しての実践指導を行った。女子は汗のにおいを気にするので衛生面に考慮する、紐の結び方は事前に家で練習しておくように伝えておくと授業がスムーズに進む、小手打ちの時間を長くすると痛がる生徒がいるので注意が必要など、自身の体験を織り交ぜながら初心者指導のポイントを解説した。

◆ 参加者の声
□中学校教員(女性)
お互いの呼吸を感じながら隙を与え、隙を狙うという静かな攻防の中に、自分が生徒に伝えたい剣道の魅力があるのだと学ぶことができました。

□中学校教員(女性)
剣道具をつけない稽古法は、夏の時期の指導にいいと思いました。

□中学校教員(男性)
剣道を教えるのではなく、剣道で何を教えるか、しっかり考えていきたいと思います。

□道場指導者(男性)
未経験の方だけでなく、経験者の我々こそが、このような研修会に参加し、剣道の歴史、文化、指導方法を学ぶことで、子どもたちに剣道の楽しさ、魅力をより伝えることができると確信しました。

長谷川講師の講義

手拭いを使って握り方を指導

竹刀は使わず、3人1組で打突の機会、足捌きを学ぶ

元立ちの動きもきちんと指導する必要がある

竹刀の柄頭を打つ練習。打突部位を意識させる

紐の結び方を家で練習させておくのも効果がある

基本に忠実な指導を心がける

判定試合を取り入れると生徒の意欲が高まる