武道の振興・普及

山口県学校体育・地域社会(柔道)指導者研修会

期間 平成22年11月5日(金)
場所 山口県山口市 維新百年記念公園スポーツ文化センター(武道館)
参加者 54名(男子45名、女子9名。うち有段者16名、無段者38名)
派遣講師 鮫島元成七段 全日本柔道連盟教育普及委員会副委員長
地元講師 宮原健太郎七段 野田学園中学・高等学校教員
山本敦士五段  岩国市立麻里布中学校教員

概要

~開校式~
 山口県施設管理財団理事長兼山口県武道振興協議会会長樫部裕人氏が「来年は、山口県下において『おいでませ山口国体』があり維新公園はメイン会場となります。  先の学習指導要領改訂に伴い武道が必修化となりました。この学習指導要領改訂に関しては、地元出身で当時の安倍内閣総理大臣に日本武道協議会が請願書を提出し、実現に至りました。この研修会が充実したものになりますよう、お願いいたします。」と挨拶の言葉を述べた。
 続いて中央講師の鮫島先生が、「一日の研修会であり、いつもの体育の授業同様に行いたいと思います。
『柔道は危ない、痛い』と言うイメージがあるが、今回の研修会では、それを払拭していきたいです。」と、挨拶を述べた。

~研修内容~
「教本作成のねらいは未経験者(柔道が専門外の教員など)が指導することを目的としさらに、そのような人が手にしても理解しやすくするために写真を多くした。また、一人でも予習復習ができるよう、教本の内容に添ったDVDを添付しましたと、『柔道づくりの教本』の活用方法が説明された。

・授業における指導法の考え方について
    1. 受け身はきちんとした転び方ができれば技の受けができる。
    2. 試合は柔道衣の着こなしの試合や受け身の試合でもよい。
・授業の進め方について
   1. 初めは「アバウトに」最後は「しっかり」指導する。
   2. 教えることと、教えきることの区別をすること。
    3. 最初から投げ技や固め技をとおして教えるのではなく、段階的に教えて考えさせる。
・実技指導について
    1. 組み方…押し合い、引き合いを基本として投げ技につなげる。
    2. 受け身…後ろ受け身などは、低位置から高位置での受け身へ。最初は寝たままで、次は頭を上げて、続いて足を上げてと、段階を踏んで伝え、生徒に安心感を与え、指導をする。
    3. 体さばき…前後左右、右足前さばき左足前さばきなど。それを発展させた体落等の技を指導する。

 はじめから専門用語を使わず、生徒に分かりやすい名称を付けながら覚えさせるようにとのアドバイスを挟みながら実技指導を行い、最後に相手を変えながらの自由練習(技の段階別練習方法)をした。受講者は鮫島先生の教えを守り、押しあったり、引きあったり、体をさばきながらお互いに技を掛けあうなど、受け身の練習を行った。
 全ての研修内容を終え、鮫島先生が「生徒に対する評価については、道衣の着こなし、受け身の試合などで行うのもよいでしょう。また、技を掛け、投げた時の姿勢や投げられた方の受け身なども点検確認し、評価に置き換えたらよいのではないでしょうか。先生が真剣に授業に取り組めば生徒も真剣についてきます。また、段階を踏んで生徒に教えれば、それが事故や怪我防止につながります。今後の指導に是非とも活かしていただきたいと思います。」と締めた。
男性教員の話
   ※授業時間(50分)と同じ時間で指導して頂き分かりやすかった。
   ※教育論に関する意見交換もでき、充実した。
   ※投げられたときの痛みなどが体験でき、子どもたちに対する理解が出来たような気がする。
   ※生徒に柔道の楽しさを伝えたいと思います。

女性教員の話
   ※安全面について、実践しながら学ぶことができて良かった。
   ※初心者の私でも楽しく実技を学ぶことができた。
   ※授業を組み立てるヒントをたくさんいただいた。

  今回の研修会は山口県教育庁学校安全・体育課の力添えもあり、一日研修会であったが54名中8割が中学校保健体育教員、2割が高校教員と受講者の全てが教員となった。初めて柔道衣を着用する教員も多かったが、自分が生徒の身になったつもりで研修を受けるなど皆、真剣なまなざしで受講している姿が印象的だった。