武道の振興・普及

福井県(福井市)地域社会柔道・剣道指導者研修会

期間 平成24年6月28日(木)~29日(金)
場所 福井県立武道館
参加者 【柔道】18名(15名が中学、3名が高校の保体科教員)
【剣道】17名(7名が中学、6名が高校の保体科教員。他4名は他教科教員)
派遣講師 【柔道】射手矢 岬五段、腹巻 宏一五段
【剣道】小久保 昇治教士八段、神﨑 浩教士八段

概要

 福井県内の小・中・高等学校保健体育科教員(非常勤講師を含む)を対象にした本事業は、本年度で4年連続となる。開会式後には県教育庁スポーツ保健課の平井氏から全体に対して指導要領の説明があり、その後それぞれの研修会に移った。
【柔道】
 はじめに射手矢講師が中心になって説明した柔道衣の着方では、生徒たちにわざと間違った例を見せ、次に正しいものを見せる指導の工夫が紹介された。続いての受身の指導法では、床を叩くときの手の向きによって怪我をしやすくなるため、安全に受けるためにはどのようにしたらよいか、また、上手く受身が出来たときの姿勢はどのような形か段階的な説明があった。
 実技指導では、指導者が勢いに乗った(理にかなった)技をはじめに見せてしまうと、生徒は真似をしようとして力任せに投げてしまうため、そのような場合、受けでも技術の上達を図るようにと呼びかけた。受身のときには、従来通りの方法だけではなく、頭を打たないようにする良いアイデアがあれば随時取り入れるよう指導があった。
 腹巻講師が中心になって行った固め技の指導では、ウォーミングアップに時間をかけてから行った。ウォーミングアップでは生徒が興味を持ち、なおかつ効果のある運動が多数紹介された。中でも、一人が足を広げて立ち、もう一人が仰向けになり、相手の膝裏に自分の足を引っ掛け、交互に動かす運動(写真参照)は、受講者たちが夢中になって取り組んでいた。これはバランスを取る練習で、倒れるときは後ろ受け身を取る。その際、実際に起こり得る事故の対策を織り交ぜながら、繰り返しの安全指導も徹底して行った。
 2日目には研究協議が行われ、受講者から疑問を聞き出し、指導法・カリキュラム(計画)・環境・その他の4つに分けそれを中央講師が回答していった。その中でも最も多く質問が集中したのが指導法で、ウォーミングアップにはどれくらい時間をかければよいかなど、現場で疑問に感じていることが中心に質問された。

【剣道】
 初日に行われた授業の導入部分では、丸めた新聞紙を木刀で切り、生徒たちに興味を持たせつつ手の内の作用を覚えさせる指導法が紹介された。その中で、生徒間で怪我をしないよう簡単なルールを決めてから行うことや、必ず礼をする習慣を付けさせることが重要であると学んだ。また、素振りなど基本動作については、教員各自でバリエーションをつくり、生徒に飽きさせない工夫が必要であるとの指導があった。
 2日目には防具の着装について指導があり、講師陣が巡回しながら指導を行った。中でも近年の中学生の中には蝶々結びができない生徒が多いので、特に紐の取り扱い方について注意があった。そこで、まずは紐の仕組み・文化から教え、次に二人一組で確認しながら結ぶというような段階を踏むことが重要であると学んだ。
 小久保講師の実技では、音楽に合わせて打突を行うことで、反復して学習できる「リズム剣道」が紹介された。はじめは音楽とタイミングが合わなかった受講者も、慣れていくうちに皆同じリズムで打突できるようになり、最後は打突音が一つになって聞こえた。
 また、神﨑講師の講話では、生徒から試合を行いたいという積極的な意見が多く出た場合、安全面に気をつけながらであれば、多少チャンバラのようになっても構わないので試合形式の練習を取り入れてもよいという意見があった。
 本研修会では小久保講師の冒頭挨拶で、「剣道の痛い・臭い・怖いというイメージを払拭するような、安全で楽しい授業を目指してほしい」という言葉があったが、2日間をとおしてそれに沿った指導内容となった。