武道の振興・普及

第6回全国空手道指導者研修会

第6回全国空手道指導者研修会
主催 (公財)日本武道館、(公財)全日本空手道連盟、
(公財)全国高等学校体育連盟空手道専門部、全国中学校空手道連盟
後援 文部科学省
期間 平成27年8月17日~19日
会場 日本空手道会館
講師 講師・助講師一覧表
日程表 日程表
参加者数 80名

 本研修会は国庫補助対象事業として中学校武道必修化の充実に向け、中学校・高等学校の保健体育科教員及び部活動の顧問、外部指導者を対象に、空手道の授業指導法や知識・技術の充実を図り、空手道指導者の資質向上を目的とした研修会である。6回目を迎える今回は、初心者27名を含む80名が参加し、中学校保健体育科授業における空手道の指導法を学んだ

栗原副会長

■1日目(8月17日)
開講式の主催者挨拶で栗原茂夫全日本空手道連盟副会長が「平成24年度から完全実施となった中学校武道必修化に対し、空手道の実施校が増えるよう全空連として様々な形で取り組んでいる。現在空手道は全国207校で実施されており、柔道、剣道、相撲に続き4番目に多い。空手道の持つ楽しさ、素晴らしさを共有し、3日間が充実した研修になることを望む」と述べた。
続いて三藤芳生日本武道館理事・事務局長が「本研修会は国庫補助事業として、中学校武道必修化が成功するよう空手道指導者の資質向上を目的としている。必修化は4年目を迎え、内容の充実が求められる時期に入った。

三藤理事・事務局長

空手道は着実に実施校が増加してきているが、ここでしっかり研修して、さらに空手道の素晴らしさを伝えていただきたい」と述べた。次に小山正辰講師が「本研修会は今回6回目を迎えます。この5年間の研修会の蓄積を更に飛躍させ、また生徒に定着させていくため皆様のご協力を仰ぎたい。ここで身につけたものを生徒や地域の方にお伝えいただき、空手道が愛されるようご協力いただきたい。この3日間が充実した研修会となるよう、ともに頑張りたいと思います」と述べた。
開講式終了後、栗原特別講師が『2020年東京五輪にむけた取組について』と題して講演を行った。「2020年東京オリンピックで空手道が正式種目として採用される可能性はかなり高まっている。全空連は長い年月をかけ、正式種目採用への運動を続けてきており、特にこの1年は積極的に広報活動を行ってきた。また今後、基金を立ち上げ多くの方にご支援ご協力をお願いしようと考えている」と講話した。

その後、初級と上級(空手道経験者)に分かれ、実技指導を行った。初級は日下修次講師が空手道における礼法(立礼・座礼)、立ち方(閉足立ち、結び立ち、平行立ち、八字立ち、前屈立ち等)、突き(その場突き、移動基本)、受け(下段、中段、上段)について一通り説明した後、基本形を指導し、授業を想定した団体形の試合をトーナメント形式で実施した。また、具体的な評価の方法について説明した。
上級は小山講師が基本的な立ち方(四股立ち、猫足立ち、前屈立ち)から受け、攻撃の仕方について幅広く指導した。重心の在り方や突きを出すときの膝、腰の感覚について細かな説明があった。その後、基本形を各グループ毎に発表し、初日を終えた。

笹川会長

■2日目(8月18日)
まず岩城公二講師から中学校武道必修化が4年目を迎えるにあたって、現状を踏まえ、他種目と比較・分析し、採用校増加のための方法等について、講義がなされた。また、学習指導要領や中学校での段階的な指導方法について説明した。その後、休憩をはさんで大道場での実技に移った。まず井下佳織助講師と野中史子助講師がペアで出来るストレッチを行って体をほぐし、その後、岩城講師が『空手道指導の手引』に則り、約束組手の指導を行った。受け方、突き方について初心者が陥りやすいポイントを押さえながら、順を追って説明した。突く際の間合いの取り方、体重移動の仕方、上段あげ受けをする際の腕の角度について等、実際に演武をしながら説明した。 昼食後、各グループに分かれて引き続き約束組手を10分間程度練習し、その後発表に移った。団体戦の試合形式で発表を行ったため、白熱したものとなった。発表後、岩城講師から「(組手でも)力強さに加え、武道の特性である残心を大切してほしいとのポイント解説があった。
午後の講義に先立ち、笹川堯全日本空手道連盟会長より「日本固有の武道・競技スポーツである空手道がオリンピック種目として採用されるよう現在最善の努力をしているので皆さんにもご協力をお願いしたい。また、現在空手道は中学校武道必修化に伴い207校で実施されているが、何とか300校に増えるよう希望に燃えている。皆さんにはぜひ礼と節をわきまえ、勝っても負けても相手に敬意を表する武道の精神をこの研修会を通してしっかり学んでいただきたい」と挨拶が述べられた。

続いて日野一男講師の安全対策の講義では具体的な判例を示しながら、指導者として生徒に対する安全配慮義務確保の重要性、故意・過失の理念について等事故防止に向けての詳細な説明がなされた。その後、再び大道場へ移動し、中村武志助講師の指導のもと『空手道の授業採用に向けた取り組み』についてグループ毎に討議し、採用されるための学校側への働きかけを想定した模擬討論を行った。

■3日目(8月19日)
最終日はまず小山講師の指導のもと、全員で立ち方(猫足立ち、四股立ち、前屈立ち、後屈立ち、基立ち、三戦立ち)の確認を行った。つづいて日下講師の指導でその場基本(突き・蹴り)、移動基本、基本形を全員で確認しながら行った。最後に上級者・初級者のグループ毎に基本形の発表を行って終了した。閉講式の講師代表挨拶では岩城講師より「年々受講者のレベルが上がってきており研修会の質が向上してきている。さらに自分自身の質を向上させられるよう頑張っていただきたいと総括が述べられ、3日間の研修会が無事終了した。