武道の振興・普及

栃木県宇都宮市地域社会弓道指導者研修会

期間 平成27年8月17日(月)・18日(火)
場所 栃木県体育館弓道場
参加者 36名(中学教員17名※保健体育教諭2名)
派遣講師 久保田清範士八段、桑田秀子教士八段
射技指導
矢渡 射手 久保田講師

概要

 中学・高校の弓道部顧問、外部指導者19名に加え、中学校教員17名(うち弓道未経験者1名、初心者7名)が参加して行われた。中学校武道必修化関連事業として行われ、初心者、中学生・高校生に対する指導法を含めた内容で進められた。

 

研修会は初心者と有段者に分かれて行われた。初心者は、はじめに安全管理、事故防止の重要性の説明を受け、基本となる身体の動き、弓の持ち方を学んだ。続いてゴム弓で実際に弓を引く感覚を体験し、巻藁の前に立ち、実際に矢を放つ。「中学の時以来20年ぶりに弓を引く」、「4月に弓道部顧問となり、始めたばかり」という参加者も、細かい指導を受けながらだんだんと様になっていく。

 

弓道未経験の中学保健体育教諭は専門がバドミントンで、武道経験はまったくない。4月から勤務の大平中では今年度から県内で初めて体育授業で弓道が実施される。対象は1年から3年の女子、年13時間行われる予定。弓具は全日本弓道連盟から寄贈され、外部指導者として、県連の役員が指導することになっている。講師の指導を受け悪戦苦闘しながらも、鏡を見て素引きを繰り返した。「教えられたとおりにやっていても手の動きが非常に難しいです。外部指導者の先生が指導されることになっていますが、評価をするのは自分なので弓道の基本はしっかり身につけたい」と意欲的に取り組んでいた。

ゴム弓を使って弓を引く感覚を身に付ける
鏡を見ながら構えを確認
巻藁から矢を抜く時は周囲に注意する
講師から細かな指導を受ける
立ち方、座り方を学ぶ
入退場時は足の運びに注意

 初日の昼食後、久保田講師による講話が行われた。内容は以下のとおり。
・安全管理、事故防止は何よりも優先される。
・弓、矢の点検、指導者の許可なく行射させない、当たり前のことだが、人に向けない、引く真似もしない。
・古い巻藁は使わない。
・矢取りの際は声かけ確認をする。決して飛び出さない。
・通常の危険防止策をとっていても事故は起きるということを認識してほしい
・指導者は確信を持って後進を指導する者であり、自覚と能力を兼ね備え、模範を示す指導者を目指してほしい
・弓道指導は身体に触れる場面が出てくる。人に触られるのを嫌がる生徒もいるので、声をかけるなど、気をつけてほしい。

矢取りの際は声かけ確認
壁を使って正しい姿勢を確認

 2日目、久保田講師が弓道場以外での練習法を紹介した。壁に背中をつけてゴム弓を引くことによって、正しい姿勢を意識できるようになる。久保田講師は「場所を選ばずにできるので、ぜひ取り入れてほしい。弓道が上達するためには、素直な心、やる気、そして創意工夫が必要です」と話し、参加者も真剣に聞き入っていた。

 

研修会の最後には、参加者全員による一手行射が行われた。全体を総括して講師講評が述べられ、研修会は終了した。

■参加者の声
▽初心者指導におけるポイントと危険防止のための留意点を学ぶことができた。射技、弓道に対する考え方について深めることができた。(高校弓道部顧問・男性) ▽最近の中学生の体力が落ちている。弓道をやる以前に問題があるように思う。(社会体育指導者・女性)
▽講師の指導を身近に見聞して、自分自身の射ももっと修練し、生徒に納得いくアドバイスを与えることがほんの少し修得できたと思う。(中学校外部指導者・女性)