武道の振興・普及

茨城県(水戸市)地域社会少林寺拳法指導者研修会

期間 平成23年6月12日(日)
場所 茨城県武道館
参加者 45名(県内少林寺拳法指導者、関係者)※学校教員、元教職関係者を含む
派遣講師 秋吉好美正範士八段、乾秀樹正範士七段

概要

 学校教諭や元学校長を含む県内少林寺拳法指導者45名が参加したが現職の中学校保健体育課教諭は不参加であった。
 講師は、東京別院道院長の秋吉好美氏と、中学校武道必修化プロジェクトメンバーの乾秀樹氏の2名が実際に中学校で少林寺拳法を体育授業で指導した経験のある乾講師を中心に研修を行った。

 初めに、少林寺拳法の特徴や良さを学校長や保健体育課教員にどう説明するか、未経験の中学生に少林寺拳法をどう指導するか想定した模擬演習を2人1組、3人1組で行い、そのあと、乾講師が実技を交え、指導上の要点を説明した。それらをまとめると、

○体育授業では、運動量を確保しなくてはならない。説明の時間を短くし、どんどん身体を動かすことで学習効果が上がる(キックミットなどを使い、好きなように突かせたり、蹴らせるなど)。
○生徒の好みに関係なく、英語や数学の時間と同様、体育の授業として少林寺拳法を指導する。
○全ての中学生が対象なので叱って鍛える方式は興味、関心のない生徒に逆効果。→誉めて育てる(姿勢の良い生徒を誉めるとまわりの生徒も自然に背筋が伸びる=自発的な行動を引き出すなど)ように工夫する。
○中学生はある程度理解力がある。説明し、理解させて取り組ませると学習効果が上がる。
○合掌礼は省略しない。相手への尊敬の気持ちとして、丁寧にすることを大事にする。
○専門用語(技の名称など)は極力使わない。
○少林寺拳法の目的は人間教育であるので、単なる身体運動の時間にせず、瞑想の時間を設け、拳禅一如や力愛不二を説くなど、実技と学科を両立させる。
○成長過程の中学生なので、関節は極めず、重心移動や体捌きだけで相手を崩せるという技の面白さを実感させる。
○実際は8時限程度しかコマ数がとれないので、技の演武を目標にするより、少林寺拳法の面白さや教えを体験させることを重視する。
○評価や採点は、技の上手下手でなく、学科なら少林寺拳法の教え、実技なら姿勢の良さや発声の大きさなどでよい。

 後半は、これら要点を踏まえ、短時間で少林寺拳法の魅力を伝えるための実技研修を行った。
 最後の質疑応答では、「欠席者に、次の時間でおさらいをする必要があるか」「評価・採点は外部指導者がするのか」「指導すべき内容は決まっているのか」など、授業実施に関する具体的な質問が相次いだ。